国際協力をやってみるタイミング
- 2015/08/05
- 15:07
どうも、石田です。
国際協力というのは臨床、公衆衛生問わず
いつ始めるかというタイミングが
よく話題にあがるし、よく聞かれます。
これには個々人によって諸説あるので
いつがいいというのは一概に言えませんが、
今日は自分の感じるところをご紹介します。
多くの人の意見はしっかりとスキルを身につけてから
現場に出ることをお勧めしていると思います。
技術や知識も無いのに現場に出ることは
発展途上国の人達に対して失礼だというのが
ほとんどの人が言う理由ですね。
中には
「発展途上国の患者で人体実験するつもりか」
「彼らはスキルアップの道具ではない」
などと心無いことを言い出す人もいます。
ただ、自分の見解としてはその真逆で
こういう現場には極力早く出て来た方が良いです。
その理由をこれからご説明しますね。
1)柔軟性
ただでさえ海外に出ると日常生活をはじめ培ってきた多くの常識が覆されます。
そして、本来自分の技術を活かしたいと思って出てきたはずなのに、
武器になるはずの医療技術すら通用しないことがあるんです。
具体的には
心臓カテーテルの達人が来たけどカテーテル治療をできる設備がない、
脳外科のゴッドハンドが来たけど衛生状態が悪すぎて手術ができない、
感染症で有名な先生が来たけど日本では診たこともないばい菌だらけ
などなど言い始めると枚挙に暇もございません。
加えて住環境や食事などあらゆる場面で強いストレスがかかるため
こういう現場に出ることは高いレベルの柔軟性が必要になります。
そして、それは年とともに確実に衰えていくんですね。
これは主観的な意見ですが、年齢が高いボランティアの方ほど
長期・短期問わず活動への適応にご苦労されている印象があります。
(もちろんほとんどの方が謙虚にボランティアをしてくださっています。)
2)自由度
ある程度のトレーニングを修了してから出てくるというのが
ほとんどの医療者の意識ですが、果たしてその時になって
本当に現場に出てくることができるでしょうか?
例えば大学卒業後、いわゆる”専門医”という学会からの
専門家のお墨付きをいただくには大体6年ほどかかります。
医学部は現役でも卒業が24歳ですのでその頃には30歳ですね。
他の業種でもそうだと思いますが、30歳と言えば働き盛りで
知識も技術もありながら体力も備えている最も脂がのった世代です。
もちろんその時に所属している組織からは
それなりの責任と役割を与えられているはずですし、
そこをいきなり辞めて出てくるというのは
とても強い周囲からの反発を伴うことになります。
ボロクソ言われて断念しましたっていう人も多く見てきました。
さらにはその年齢になると結婚したり、子どもがいることもあります。
所属する組織の方はまだなんとか調整できたとしても
子どもと結婚相手を放り出して自分だけ年単位で海外に出てくるのは
よほど家族関係が悪くない限りはほぼ不可能に近いです。
つまり多くの人はいっぱしのスキルが身に付く頃には
社会的にも道義的にも大きな制限を背負っているわけです。
そんな状況では昔からの夢だったとしても
発展途上国での国際協力なんて行けなくなってしまいますよね。
ジャパンハートでは短期ボランティアを受けていますが、
国境なき医師団をはじめ、多くのボランティア団体では
数ヶ月以上の中期派遣が基本になります。
それだけの期間、持ち場を離れるのは難しいと思います。
しかし、キャリアの早い段階で一度現場に出ている人間は
それをlong career goalとして結婚や就職も含めて
包括的にプロデュースしていけるので
出直してくるのにハードルが極めて低くなります。
かくいう石田もそんな一人なんです。
そして最後に「途上国の人を実験台に〜」という
不毛な意見を論破して終了しようと思います。
一人前になってから国際協力の世界に入るというのは
一見正論なようですが、実は非常にあやふやです。
何をもって一人前と言えるかが難しいからです。
専門医になったって本当はまだまだトレーニングが必要だし、
そもそも専門が細分化された日本の医療界では
自分の専門は一通り診ることができてもその他の分野に関しては
手も足も出ませんということが往々にしてあるからです。
でも、いざ現場に出てくると何科の医者だろうが
御構い無しに毎日何十人、何百人の患者が押し寄せます。
結局髪の毛先からつま先まで全部診られる医者なんて存在しないから
「一人前の医者」っていう議論自体がナンセンスなんです。
一番大切なのは自分のできる範囲を超えないで
現地の人達にできることをしていくという姿勢です。
細かいスキルは必要に応じて培われていきますから
そんなの気にする必要は全くありません。
自分の実力を超えることをして失敗しては駄目だけど
例えば病室をきれいに掃除して回復を促せるとか
患者さんの話をじっくり聞けて隠された問題を暴けるといったことの方が
ちょっと手術が上手とかそんなことよりよっぽど役に立つんです。
だからこそ上記のような意見には耳を貸す必要はありません。
むしろそんなこと言ってるやつの方がそういうマインドがあるってことで
よっぽど怪しいやつらだと考えた方が自然だと思います。
得てしてそう言う医者は患者さんを救いたいというよりは
学問的に心臓に興味があるから心臓外科とか
肺という臓器が面白いから呼吸器内科といったモチベーションで
専門を選んでいることが多いんです。
そもそも途上国に早くから出てこようって人間は
ロマンチストが多いからそういう発想にならないんですよね。
自分は大学卒業後、初期研修の2年間を終えて
すぐにジャパンハートの活動に参加しました。
その時には8割くらいの人達から止められました。
止めようとするほとんどの人の意見は
お前なんかが言って何ができるんだということでした。
ちなみに「そんなところ行って大丈夫?」って
自分の身を心配して止めてくれた人は家族を除くと
ほとんどいませんでした(笑)
でも、そうやって反対してくる人間は100%、
途上国での医療経験が無かったです。
知らないのにイメージだけで反対しているんですね。
ただ、例えばあなたが騙されて夢を諦めたって
そのツケを払わされるのは結局自分です。
我が子には夢を諦めるな、必ず叶うって応援してても
自分は自分の夢を裏切ったという自己矛盾を
一生抱えて生きていくことになります。
そんな人生って本望でしょうか?
以上の理由からもし本当に興味があるなら
できるだけ早く外の世界に顔を出すべきです。
あなたがあなたの夢を叶えることこそが
周りの人を幸せにするための第一歩なんだと思います。
国際協力というのは臨床、公衆衛生問わず
いつ始めるかというタイミングが
よく話題にあがるし、よく聞かれます。
これには個々人によって諸説あるので
いつがいいというのは一概に言えませんが、
今日は自分の感じるところをご紹介します。
多くの人の意見はしっかりとスキルを身につけてから
現場に出ることをお勧めしていると思います。
技術や知識も無いのに現場に出ることは
発展途上国の人達に対して失礼だというのが
ほとんどの人が言う理由ですね。
中には
「発展途上国の患者で人体実験するつもりか」
「彼らはスキルアップの道具ではない」
などと心無いことを言い出す人もいます。
ただ、自分の見解としてはその真逆で
こういう現場には極力早く出て来た方が良いです。
その理由をこれからご説明しますね。
1)柔軟性
ただでさえ海外に出ると日常生活をはじめ培ってきた多くの常識が覆されます。
そして、本来自分の技術を活かしたいと思って出てきたはずなのに、
武器になるはずの医療技術すら通用しないことがあるんです。
具体的には
心臓カテーテルの達人が来たけどカテーテル治療をできる設備がない、
脳外科のゴッドハンドが来たけど衛生状態が悪すぎて手術ができない、
感染症で有名な先生が来たけど日本では診たこともないばい菌だらけ
などなど言い始めると枚挙に暇もございません。
加えて住環境や食事などあらゆる場面で強いストレスがかかるため
こういう現場に出ることは高いレベルの柔軟性が必要になります。
そして、それは年とともに確実に衰えていくんですね。
これは主観的な意見ですが、年齢が高いボランティアの方ほど
長期・短期問わず活動への適応にご苦労されている印象があります。
(もちろんほとんどの方が謙虚にボランティアをしてくださっています。)
2)自由度
ある程度のトレーニングを修了してから出てくるというのが
ほとんどの医療者の意識ですが、果たしてその時になって
本当に現場に出てくることができるでしょうか?
例えば大学卒業後、いわゆる”専門医”という学会からの
専門家のお墨付きをいただくには大体6年ほどかかります。
医学部は現役でも卒業が24歳ですのでその頃には30歳ですね。
他の業種でもそうだと思いますが、30歳と言えば働き盛りで
知識も技術もありながら体力も備えている最も脂がのった世代です。
もちろんその時に所属している組織からは
それなりの責任と役割を与えられているはずですし、
そこをいきなり辞めて出てくるというのは
とても強い周囲からの反発を伴うことになります。
ボロクソ言われて断念しましたっていう人も多く見てきました。
さらにはその年齢になると結婚したり、子どもがいることもあります。
所属する組織の方はまだなんとか調整できたとしても
子どもと結婚相手を放り出して自分だけ年単位で海外に出てくるのは
よほど家族関係が悪くない限りはほぼ不可能に近いです。
つまり多くの人はいっぱしのスキルが身に付く頃には
社会的にも道義的にも大きな制限を背負っているわけです。
そんな状況では昔からの夢だったとしても
発展途上国での国際協力なんて行けなくなってしまいますよね。
ジャパンハートでは短期ボランティアを受けていますが、
国境なき医師団をはじめ、多くのボランティア団体では
数ヶ月以上の中期派遣が基本になります。
それだけの期間、持ち場を離れるのは難しいと思います。
しかし、キャリアの早い段階で一度現場に出ている人間は
それをlong career goalとして結婚や就職も含めて
包括的にプロデュースしていけるので
出直してくるのにハードルが極めて低くなります。
かくいう石田もそんな一人なんです。
そして最後に「途上国の人を実験台に〜」という
不毛な意見を論破して終了しようと思います。
一人前になってから国際協力の世界に入るというのは
一見正論なようですが、実は非常にあやふやです。
何をもって一人前と言えるかが難しいからです。
専門医になったって本当はまだまだトレーニングが必要だし、
そもそも専門が細分化された日本の医療界では
自分の専門は一通り診ることができてもその他の分野に関しては
手も足も出ませんということが往々にしてあるからです。
でも、いざ現場に出てくると何科の医者だろうが
御構い無しに毎日何十人、何百人の患者が押し寄せます。
結局髪の毛先からつま先まで全部診られる医者なんて存在しないから
「一人前の医者」っていう議論自体がナンセンスなんです。
一番大切なのは自分のできる範囲を超えないで
現地の人達にできることをしていくという姿勢です。
細かいスキルは必要に応じて培われていきますから
そんなの気にする必要は全くありません。
自分の実力を超えることをして失敗しては駄目だけど
例えば病室をきれいに掃除して回復を促せるとか
患者さんの話をじっくり聞けて隠された問題を暴けるといったことの方が
ちょっと手術が上手とかそんなことよりよっぽど役に立つんです。
だからこそ上記のような意見には耳を貸す必要はありません。
むしろそんなこと言ってるやつの方がそういうマインドがあるってことで
よっぽど怪しいやつらだと考えた方が自然だと思います。
得てしてそう言う医者は患者さんを救いたいというよりは
学問的に心臓に興味があるから心臓外科とか
肺という臓器が面白いから呼吸器内科といったモチベーションで
専門を選んでいることが多いんです。
そもそも途上国に早くから出てこようって人間は
ロマンチストが多いからそういう発想にならないんですよね。
自分は大学卒業後、初期研修の2年間を終えて
すぐにジャパンハートの活動に参加しました。
その時には8割くらいの人達から止められました。
止めようとするほとんどの人の意見は
お前なんかが言って何ができるんだということでした。
ちなみに「そんなところ行って大丈夫?」って
自分の身を心配して止めてくれた人は家族を除くと
ほとんどいませんでした(笑)
でも、そうやって反対してくる人間は100%、
途上国での医療経験が無かったです。
知らないのにイメージだけで反対しているんですね。
ただ、例えばあなたが騙されて夢を諦めたって
そのツケを払わされるのは結局自分です。
我が子には夢を諦めるな、必ず叶うって応援してても
自分は自分の夢を裏切ったという自己矛盾を
一生抱えて生きていくことになります。
そんな人生って本望でしょうか?
以上の理由からもし本当に興味があるなら
できるだけ早く外の世界に顔を出すべきです。
あなたがあなたの夢を叶えることこそが
周りの人を幸せにするための第一歩なんだと思います。
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